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2006年 11月 07日
今日は電車で出かけました。
さらにバスに乗り換え。

ちょうどお昼頃。
お年を召された女性が大勢乗られていました。
結構混み合っていて立たれている方もたくさん。

そんな中ある光景が鮮明に蘇りました。

高校生の時バスの中での出来事です。
冬服を着ていたのでちょうど今頃の季節だったかもしれません。
その日はお天気が悪くて普段自転車で通学している子もバスを利用していて結構な混み具合だったんです。立っている人は勿論吊革につかまることの出来ない人もおられるくらい。

バスががたっと揺れて一人のおばあちゃんが倒れそうになった時、人の間からさっと手が伸びておばあちゃんの手をつかんだのです。
倒れずにすんだのを確かめられる位の時間の後 またすっとつかんだ手は離れていきました。
混み合う車内で私が見えたのは、ふたつの手の部分だけ。おばあちゃんがどんな方だったかもわかりません。

つかんだ方の手の主は私のクラスメイトでした。
剣道をやっていて、スポーツ刈りで すらっと背は高いけど、どちらかというと童顔。
ちょっとひょうきんなところもあってという男の子。

卒業後希望通り体育大学に進学。高校の体育教師として頑張っているという噂を聞くようになった矢先、20代半ばで病に倒れ亡くなってしまいました。

今でも混み合うバスに乗っているとときどき彼の手を思い出します。
生きていればあのときのように、困ったり悩んだりしている生徒にさっと手をさしのべて、またさりげなく手を離していけるような素晴らしい教師でいたことでしょう。

そんなに親しくなかったこともあり高校生活での彼の記憶はほとんどありません。
けれどもおばあちゃんの手をしっかり握ったあの手は今でもはっきりと浮かんできます。
彼の優しさの記憶となって。

私は今まで出会ってきた人にどんな記憶を残してきただろう。
これから会う人にどんな記憶が残せるのだろう。
願わくばそれが良いものでありますように。

急に風が冷たくなった夕暮れに少ししんみりしてしまいました。
手_c0090543_2048590.jpg

by gonnosuke117 | 2006-11-07 20:58 | おもうこと


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